粉雪(EA)- 評判・レビュー
- トレンドフォロー型ナンピンスキャルピングEA
- パラメータでロスカット値を指定可能
- 基本的には負けずに利益をコツコツ積み上げるが、たまに大きなロスカットが発生する可能性あり
粉雪(EA)の基本情報
価格 | ¥16,800(税込) |
時間足 | M5 |
通貨ペア | EUR/USD |
取引スタイル | スキャルピング |
開発者 | ねこ博士 |
同開発者の他のEAレビュー | Pips_miner_EA Morning_M15_USDJPY |
販売サイト | GOGOJUN |
端末 | MT4 |
開発者のねこ博士は国内では有名で、複数の人気EAを開発しています。
収益性・ドローダウンの評価
日付 | 金額 | |
運用開始 | 2016/8/16 | 初期残高:¥1,000,000 |
残高 | 2020/3/4 | 現在残高:¥1,208,516 |
期間 | 42ヶ月 | |
合計収益 | +¥208,516 | |
合計収益率 | +20.9% | |
月間利率(複利) | +0.5% | |
最大ドローダウン | 15.9% | |
勝率 | 62.0% | |
総取引数 | 416回 |
利益を増やすためにロットサイズを上げたくなりそうですが、ロスカットを入れずに大きな含み損を抱えるリスクがあるEAですので、ロットサイズの調整は慎重に判断されることをおすすめします。
取引分析-基本取引スタイル
粉雪の取引の特徴を一言で表すと「トレンドフォロー型ナンピン・マーチンゲール スキャルピングEA」となります。
まずトレンドの方向に短期逆張りでエントリーするという特徴があります。
(エントリーのロジックには「IMA、RSI、標準偏差」の3つのインジケータが採用されているようですが、実際にどのように利用されているかはブラックボックスです。)
以下の4時間足のMT4チャートの取引履歴を見ると、トレンドの方向にポジションをオープンしていることが分かります。
■EURUSD 4時間足 白=BUY 赤=SELL
比較的強い値動きが発生した後で、逆方向に価格が戻ったタイミングでエントリーします。
ナンピン・マーチンゲール系のEAは完全に逆張りエントリーするパターンの方が多いですが、粉雪の場合はトレンドの方向にエントリーしますので、長期足でみれば順張りですし、短期足でみれば逆張りとなります。
■EURUSD 30分足 白=BUY 赤=SELL
値幅の大きいナンピン・マーチンゲールEAで完全にトレンドフォロー・順張りでエントリーするのは少々リスクが高いかと思われますが、粉雪は値幅の小さいスキャルピングEAという特性もありますので、トレンドフォローの方がむしろ合っていると言えるかもしれません。
危険性とリスク分析①-ナンピン幅
粉雪のナンピン幅は大体6~10pipsの範囲となっています。
エントリーから価格が6~10pipsポジションの方向と逆に動くと、ロットサイズを上げた追加ポジションをオープンしていきます。
ナンピン幅は非常に狭いと言えるでしょう。
危険性とリスク分析②-最大ナンピン回数
粉雪の最大ナンピン回数は3回までとなっています。したがって最大ポジション数は4ポジションです。比較的ナンピン回数は少ない部類のEAと言えるでしょう。
たまに「ナンピン回数が少ないEAは安全」とミスリードする人がいますが、そんなことはありません。
ナンピン回数が少なく、またナンピン値幅が小さいほど、価格が逆行した場合にエントリーポイントの近辺まで戻ってこない限りポジションをクローズできなくなります。したがってトレンドがポジションの方向とは逆になると、長期間ポジションをクローズできず、じわじわと含み損が膨らんでいくリスクがあります。
一方、ナンピン回数が多いほど、価格がエントリーポイントから離れても比較的小さな価格の戻りでトータルで利益を出せる可能性があります。しかしながら、ポジションを多く抱えますので価格が急激に動けば含み損が一瞬で大きく膨らむリスクがあります。
したがって、ナンピン回数自体ではリスクの大きさを図ることなどはできないのです。
エントリーポイントやロットサイズ、ナンピン幅などの全てのバランスが重要となります。
危険性とリスク分析③-ロットサイズ増加率
粉雪のナンピン時のロットサイズの増加率は初期ロットを基準に3倍、5倍、10倍となります。
初期ロットが0.01ロットの場合、0.03ロット、0.05ロット、0.1ロットとロットサイズを増やして追加ポジションをオープンしていきます。
フォワードテストでは、100万円の残高にたいして、初期ロット0.05ロットで運用されています。
フォワードテストを参考にするならば最少0.01ロットを初期ロットにする場合でも、最低で残高20万円は準備しておきたいところです。
危険性とリスク分析⑤-取引頻度
ナンピンしますので取引回数自体は多く表示されますが、実際に一連のポジション(初期エントリー~最大3回ナンピン)数で見るとそれほど取引頻度は高くありません。
フォワードテストのデータを確認すると42ヶ月間で一連のポジションをオープンしたのは約230回です。つまり1ヶ月で5.5回となりますので、大体週1回の頻度となります。
ナンピン回数の多いEAは逆張りエントリーしながら常にポジションを持つよなものもありますが、粉雪の場合はナンピン幅が狭く、ナンピン回数も少ないので慎重にエントリーするスタイルの方が適しているかと思われます。
取引頻度が少ないと退屈になってくるものですが、それはこのEAが無理をせず特性に合致したエントリーをしている証拠でもあるのです。
危険性とリスク分析④-最大ドローダウン
フォワードテストの最大ドローダウンは現時点で6%程度となっており、小さな値に収まっています。
(GOGOJUN表示の最大DD値は推奨証拠金ベースであまり意味のない数値となりますので、一般的な最高残高ベースで算出しています。)
最大でポジションがエントリーポイントと逆行したのは60pips程度であり、非常に小さい値となっています。今後どうなるかは分かりませんが、あくまでこの結果だけ見るとエントリーポイントが優れているということになるでしょう。
スキャルピング系EAを多数開発しているねこ博士ならではと言えるかもしれません。
危険性とリスク分析④-ロスカット設定
粉雪はパラメータでロスカット値を設定することが可能です。
ロスカット設定に関して販売サイトには以下のとおり説明されています。
・初期ロットが0.01Lotでの運用の場合には、 「-4000pips」=約4万円程度の損失になる。

ただ、この記載はつじつまが合いませんので注意してください。
初期ロット0.01ロットで、4つのトータルポジション合計で4000pipsの含み損を抱えた場合の損失を計算すると、$1885程度すなわち日本円で約20万円となります。
つまり初期エントリーから約1000pipsの価格が逆行すると約20万円の損失が出ます。すなわち残高20万円で0.01ロット運用する場合は、初期エントリーから1000pipsマイナスで口座が完全に破綻します。
ちなみに初期ロットサイズ0.01で、トータルで4万円の損失に収めようとすると、初期ポジションから200pipsの価格逆行でロスカットを発動させる必要があります。
(フォワードテストは残高100万円、初期ロット0.05です。すなわち初期エントリーから200pipsの価格逆行は20万円の損失(ドローダウン20%)に相当します。)
なお0.01ロットの単一ポジションで、4000pipsドローダウンした場合の損失が4万円程度になります。
ユーザーを欺こうとしている訳ではなく単なるミスだと信じたいですが、
利用者は「4つのポジション合計で4000pipsドローダウンしても、4万円しか損しないリスク耐性のあるEAだ」と勘違いしないようにしてください。
開発者であるねこ博士は、「最大ドローダウンを残高のパーセンテージで指定するEAは資金管理がしにくい」などと批判していますが、むしろpips数(しかもトータルポジションの)で指定する方が計算も複雑で分かりづらいのではないでしょうか。
残高で指定できた方が、利益率との比較や、損失が出た場合にどれくらいの期間でカバーできるかなどの計算がしやすいので、利用の判断やロスカット値の指定もしやすいかと思います。
フォワードテスト環境
粉雪のフォワードテスト環境は「OANDA JAPANデモ口座」となります。
デモ口座とリアル口座は取引環境が異なります。値動き自体は同じに見えてもスリッページなど約定に関する環境は異なるので、同じEAをデモ口座とリアル口座で同時に動かしても得られる結果が異なります。
ナンピン系EAはそこまで、デモ口座、リアル口座の違いに敏感ではないと思われますが、粉雪は値幅の小さいという特徴もありますので、デモとリアル口座での結果がズレる可能性については認識が必要です。
バックテストの結果
稼働期間 | 2005/1/10~ | 2016/7/29 |
138ヶ月 | ||
初期証拠金 | 10,000 | |
最終残高 | 64,429 | |
合計収益 | 54,429 | |
合計収益率 | 644.3% | |
平均月利(複利) | 1.4% | |
最大ドローダウン | 18.7% | |
プロフィットファクタ | 2.85 | |
勝率 | 70.9% | |
総取引数 | 4596回 |
したがってバックテストの結果のみを妄信して、リアル口座で稼働させるのは危険です。
フォワードテストでは初期残高100万円にたいして、初期ロット0.05となっている一方で、バックテストでは初期残高$10000(約100万円)に対して初期ロット0.1になっています。
バックテストはフォワードテストより、2倍のリスクを取っているため、利益率も少々高くなっています。
ただ、バックテストのドローダウンは20%未満と許容範囲となっていますので、バックテストを参考に初期ロットを設定されても良いかもしれません。
粉雪(EA)のまとめ
ネーミングのとおり降り積もる粉雪のように、コツコツ利益を積み上げるタイプのEAとなります。降り積もった粉雪が春になって、全て溶けてしまわないことを願うばかりです。
ナンピン・マーチンゲールの手法が採用されていますが、ナンピン幅が狭いということもあり、ナンピンはあくまで副次的な要素であり、実質的には「損切幅を大きくに設定した、トレンドフォロー型スキャルピングEA」と認識しても良いかもしれません。
したがって、エントリーポイントが非常に重要な要素になりますが、これまでは非常に良いポイントでエントリーしていると言えます。
負ける時は半年分ほどの利益を吹き飛ばすような負けが出る可能性はありますが、長期稼働を前提にするなれば現時点では良い結果が出ているので利用を検討されても良いかと思います。
スプレッド&取引手数料で損しない。一番お得な取引環境とは
裁量トレードにしろ、EAを利用した自動売買にしろ、取引回数が多くなるほどスプレッドや取引手数料がトレード損益に与える影響は大きくなります。特にEAを用いた自動売買では取引回数は多くなる傾向にありますので、可能な限りスプレッドが狭く、取引手数料が低い環境でトレードすることが非常に大切です。
塵も積もれば山となりますので、時間が経つと大きな差になります。
最も低コストな取引環境について以下のページで検証していますので、参考にしてみてください。
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