FXAdept(EA)のレビューと検証|本当にローリスク?
FXAdeptは「NOマーチンゲール」、「NOスキャルパー」、「NOグリッド」を掲げるEAです。
フォワードテストでは良い結果が出ていますが果たして良いEAなのでしょうか?
検証してみました。
FXAdeptの基本情報
- 価格:$269
- ライセンス数:1(デモ&リアル)
- アップデート:無制限
- サポート:24/7
- 対応通貨ペア:USD/JPY
- 推奨入金額:$400
- 推奨レバレッジ:特になし
- 返金保証:30日間。ただし、動作不良もしくは推奨設定どおりに稼働させたにも関わらず35%以上のドローダウンが発生した場合に限る。
FXAdeptのライブパフォーマンス
■ブローカー:FXOpen
運用開始:2017年11月17日~
2018年4月~2018年10月まで停滞した時期がありますが、総合的に見て素晴らしい結果だと言えます。月間利益率も7%と比較的高い水準を示しています。
残高のグラフを見ると有効証拠金のドローダウンがほぼ発生していないように見えますが、実際には37%の有効証拠金ドローダウンが発生しています。Myfxbookの線グラフではそのように見えないだけですので注意してください。
もし、ベンダーが主張する「NOマーチンゲール」、「NOスキャルパー」、「NOグリッド」が真実であり、この結果が出ているのであれば、本当に優秀なEAであると言って良いでしょう。
さて実際のところはどうなのでしょうか?
FXAdeptの取引の特徴
ここからは、FXAdeptが掲げる「NOマーチンゲール」、「NOスキャルパー」、「NOグリッド」が本当に守られているのかどうかをメンイに解説していきましょう。
エントリー&エクジットポイント
開発者はエントリーポイントとして、逆張りトレードによく用いられるRSIインジケータを利用していると主張しています。しかしながら詳細なロジックはブラックボックスです。取引履歴を見ても一貫した特徴を見つけることができません。
「NOマーチンゲール」
マーチンゲールは相場がポジションとは逆方向に動いた際にロットサイズを上げたポジションを取り、小さい相場の戻りでも利益を出した状態で終わろうとする戦略です。
以下は典型的なマーチンゲールEAであるFXStabiliserの取引履歴です。
相場がポジションと逆行するとロットサイズを数倍に上げたポジションをオープンしていきます。
マーチンゲールEAというのは基本的にはロスカットせずに、相場の戻りを待ち続けます。
相場が上下を繰り返している間は基本的に負けません。
しかしながら、相場がどちらかの方向に一方的に動いた場合は、一瞬にして大きな損失を被る非常にハイリスクな手法です。
FXAdeptの取引履歴を確認する限りでは、基本的にはロットサイズは一定ですので、マーチンゲールが採用されていないことは事実だと言えます。
「NOスキャルピング」
スキャルピングとはわずかなpips幅の利益確定とロスカットを繰り返すトレードを指します。ターゲットにするpips幅が10pips以内のトレード戦略の場合はスキャルピングと言って良いでしょう。
スキャルピングは取引頻度が多く、トレードチャンスも多いというメリットがあります。
しかしながら、スキャルピングには大きな問題点があります。それはブローカーのスプレッド、スリッページやVPSのスピードに大きく左右されるということです。
また、ロットサイズが大きくなるにつれて約定が遅くなり、利益が出なくなるケースもあります。
取引環境や条件によって結果が大きく異なるのです。
ベンダー側のフォワードテストで良い結果が出ていたとしても、ブローカーやVPSなどの取引環境や、ロットサイズの違いによって全く利益が出ないケースがあります。
特にスキャルピングにとってデモ口座での結果は信用できるものではありません。
ベンダーの販売サイトには、「スキャルピングEAではなく、少なくとも2時間以上ポジションをホールドする。だから、どんなブローカーであっても結果は大きく変わりはない」と記載されています。
FXAdeptの取引履歴を確認したところ、確かに10pips以内でポジションがクローズされることの方が稀で、ポジションは2時間以内に決済されることはありません。
利益確定は平均約35pips、ロスカットは平均20pipsです。
よって、FXAdeptはスキャルピングEAではないのは本当だと言えます。
しかしながら、世の中にはチートなブローカーも存在するので、いかなる場合でも優良ブローカーを選択することが必要です。
「NOグリッド」
グリッドトレードとは、相場が上がったり下がったりする性質を活用して利益を出そうとする戦略です。
相場がポジションと逆行すると最初のポジションと同方向にポジションをオープンしていきます。基本的にはロスカットせずに、ポジションを増やしつつ相場が戻るのを待ちます。
したがって、相場が一方向に動くと取り返しのつかない状態になるリスクがあります。
グリッドトレードはしばしばマーチンゲールと併用されます。マーチンゲールはポジションが損失を抱えるとロットサイズを増やすことを意味する一方で、グリッドはロットサイズを増やすことを意味しません。
ただし、ロットサイズは増やさないにしても、相場が一方向に動き続けれると一瞬で大負けするハイリスクな手法です。
FXAdeptにグリッドトレードが採用されているかどうか確認しました。
確認の結果、部分的ではありますが、グリッドトレードと同じような戦略が採用されていることが分かりました。
通常、このEAは価格がポジションから20~40pips逆に動くとロスカットします。
しかしながら、時々同じ方向に複数のポジションをオープンして、相場がポジションの方向とは大きく逆行しているにも関わらず、長期間にわたりポジションを保有し続けることがあります。
その典型的な例が2019年2月1日~2019年5月31日の間に保有されていた3つのポジションです。
3つの売りポジションがオープンされましたが、価格は大きく上昇していきました。
価格が上昇し、3つのポジションの合計で-850pipsの有効証拠金ドローダウンが発生しているにも関わらず、ポジションはクローズされませんでした。
結果的に相場が反転して、価格がポジションをオープンした際の価格帯まで戻った時にポジションがクローズされました。
私の計算によると、この間の有効証拠金の最大ドローダウンは約38.2%になります。
Price | ||||||
Highest price (Holding position) | 112.399 | |||||
Open Date | Price | Difference | Lot | Currency Unit (1Lot) | P/L (JPY) | P/L (USD) |
2019.02.01 09:25 | 108.923 | -3.476 | 0.2 | 100,000 | -69,520 | -619 |
2019.02.04 15:35 | 109.771 | -2.628 | 0.2 | 100,000 | -52,560 | -468 |
2019.02.08 20:55 | 109.94 | -2.459 | 0.2 | 100,000 | -49,180 | -438 |
Total | - | -8.563 | 0.6 | - | -171,260 | -1,524 |
Blance | 448,247 | 3,988 | ||||
DrawDawn (Equity) | 38.2% | 38.2% |
Myfxbookに表示される最大ドローダウンは約37.2%であり、ほぼ一致します。
40%近くのドローダウンがわずか3つのポジションによりもたらされているのは非常にハイリスクな状況です。
このケースでは、112.399を境に価格が下がったためアカウントは無事でしたが、このまま上昇を続けた場合は恐ろしい事態が発生したかもしれません。
価格が上昇を続けた場合、どこでポジションをクローズしていたのか明らかではありません。
最悪の場合にはアカウントが壊れるまで、ポジションを保有し続けるのかもしれません。
このように、このEAは時々グリッドのような取引をするという性質があります。
FXCharger、FXStabilizer、Forex inControlのように個別のポジションにストップロスを置かない代わりに、有効証拠金ドローダウンをパーセンテージで指定し、ポジションをクローズするパラメータがあれば、損失を限定できるかもしれません。
しかし、FXAdeptにはこのような最大ドローダウンを指定するパラメータはありません。
非常に残念ながら、今のところ一瞬でアカウントが破綻に追い込まれるリスクを秘めたEAであると言わざるを得ません。
スプレッド&取引手数料で損しない。一番お得な取引環境とは
裁量トレードにしろ、EAを利用した自動売買にしろ、取引回数が多くなるほどスプレッドや取引手数料がトレード損益に与える影響は大きくなります。特にEAを用いた自動売買では取引回数は多くなる傾向にありますので、可能な限りスプレッドが狭く、取引手数料が低い環境でトレードすることが非常に大切です。
塵も積もれば山となりますので、時間が経つと大きな差になります。
最も低コストな取引環境について以下のページで検証していますので、参考にしてみてください。
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